襖紙の特性
■襖の構造
■襖の用途と名称
■襖の開閉様式と名称
■模様の配置
■縁について
■引手について
襖は大きく分けて襖紙(上貼り)、下地、下貼り、縁、引き手で構成されています。 伝統的な手法でつくられる襖は、下地材に木製の組子を使用し、この組子の上に下貼りが重ねられています。一方、現在の襖はこうした行程を簡略化し、工場生産に適したタイプが主流になっています。なお、仕上がった襖は普通「本」の単位で数えます。
 
■下地材による襖の種類
襖は下地材によって2種類に大別できます。一つは木製の組子が入っているもの(1〜4)で和襖と呼ばれ、もう一つは組子が入らず、段ボール・プラスチック樹脂系板などが芯になっているもの(5〜7)で、量産襖と呼ばれます。
 
1)組子襖
昔からの襖で、現在でも代表的なものです。一般的には組子は縦三本、横十一本で組み、この組んだものを骨地と呼びます。特に構造を強化したい場合は力子、燧板(隅板)を加えることがあります。普通は組子骨地の上に何層もの下貼りを重ね、最後に上貼りが貼られます。組子襖は、湿度温度への適応性があり、貼り替えの即応性もあります。
2)単板襖
簡単に組んだ組子の上に、単板(ラワン材などの木材を0.7mm〜1.2mmに薄くそいだもの)を貼った襖で、地域によって単板の厚さや組子の本数に多少の違いがあります。単板襖は、ダンボールや発泡プラスチック系に比べて、寸法物への対応性に劣ります。また、紙貼りの作業ではチップボールにはかないません。そのうえ、やや重量感に欠けるところがあります。
3)ベニヤ襖
単板襖と同じ構造で、組子の上に2.7mm程度の厚めの合板(ベニヤ板)を貼った襖です。この襖は、ほかの種類の襖に比べ丈夫なことが特徴です。ただし、かなり重量があります。最近は、片面は襖紙、片面には壁紙などが貼られた「戸襖」と呼ばれるものもあります。
4)チップボール襖
簡単に組んだ組子骨地の上に、0.7mmほどのチップボール(ボール紙の一種、チップボードともいう)を貼った襖です。組子の本数が少なく、下貼りの手間も短縮できるので、現在はこの下地を使用した襖が一般的に主流となってきています。
5)ダンボール襖
量産襖の代表的な襖です。3層ぐらいに重ねたダンボールを芯材として、一番上のダンボールの両面には、湿気防止用のアルミ箔が貼られています。この襖は、張り替えがしにくく、そり、ねじれが発生しやすいという欠点をもっていますが、芯材を機械生産することができるため、コストが安くすむという大きな特長があります。
6)発砲プラスチック襖
プラスチックの発泡体を芯材とした襖です。プラスチックの種類にはスチロールとスチレンの2種類がありますが、スチロールを使っているものが大半を占めています。この襖はダンボール襖と同じように張り替えの点や、そり、ねじれが発生しやすい点で他の襖に劣りますが、大量生産ができるのでコストが安く、寸法詰めも自由になるという利点があります。
7)その他の襖
A)ペーパーコア襖   B)アルミ(縁)襖
ボール紙や単板芯の中空のところにハニカム状のペーパーコアを入れることで強化した襖です。そりやねじれが少ないですが、価格は高くなります。   襖の縁にアルミ製の縁を用いた、新しい襖です。単板芯以外の従来の芯材が使われています。なかでもダンボール芯と発泡スチロール芯を使ったものが主流です。
 
■下貼り、上貼りについて
下貼り
下貼りは、そりやねじれ防ぎ、表面の質感をふっくらと見せる役割があります。襖のグレードは、下貼りで決まるといっても過言ではありません。 下貼りに使う紙は、細川紙・石州半紙・代用石州・茶チリ・桑チリ・漉き合わせなどがあります。
1)骨縛り
骨がゆがむのを押さえて固定するために、最初に行われるものです。 組子側に糊をつけて、手漉き和紙・茶チリ・桑チリなどの強い和紙を障子貼りのように貼ります。
2)打ち付け貼り
骨縛りを補強し、骨が透けて見えるのを防ぐもの。「骨縛り押貼り」とも呼ばれます。反古紙や、紫色などの濃い色に染めた透かし止め紙が使われます。
3)蓑貼り
和紙をずらしながら蓑のように何層にも重ねて貼ることで、クッションのような働きをします。代用石州など、薄手の手漉き和紙を貼り継いで巻紙にしたものを使います。
4)べた貼り
蓑貼りをしっかり押さえるために、紙の裏面全体に糊を付けて貼ります。反古紙、細川紙などの手漉き和紙が使われます。
5)袋貼り
上貼りを貼ったときにぴんと張りがありながら、ふっくらと柔らかな仕上がりにするための行程です。半紙または薄手の手漉き和紙・石州半紙・代用石州・茶チリなどの紙に、四辺にだけ細く糊を付け、中空の状態で貼り継ぎます。「浮け貼り」ともいわれます。
6)清貼り
上貼りの紙に薄いものが使われる場合、薄手の上質の和紙を貼って裏打ちにすることがあります。紙の全面に薄い糊を付け、襖全体に貼ります。
 
上貼り
上貼りは、素材によって紙・織物・ビニールに大別されます。(「襖紙の種類」を参照) 上貼りの種類、材質などによって、施工の際に糊の濃さを加減するなど、細かい配慮と高度な技術を要します。