―歴史の中の襖
襖が生まれたのは、8〜9世紀の頃。平安時代の貴族が住む寝殿造りの館で使われた「障子」という調度品が、襖の原型といわれています。「障子」は細い木の格子を骨組みとして両面に絹布や紙を貼り、周囲に縁を付けたパネル状のもので、これに台脚をつけたものが「衝立障子」、柱間にはめ込んで間仕切りとするものが「襖障子」と呼ばれていました。この「襖障子」がやがて引き戸方式になり、引手がついたものが現在の襖で、鎌倉・室町時代にその形が完成したといわれています。ちなみに、格子の片側にだけ薄い紙を貼ったものは「明かり障子」と呼ばれ、これは現在の障子となっています。 襖の柄も、初期には中国伝来の唐絵が描かれていたものが徐々に大和絵に変わり、安土・桃山以降は武士の興隆にともなって権威と格式を表す絢爛豪華なものになっていきました。一方、15世紀には茶道が確立し、茶室の意匠が襖の装飾にも影響を与えました。茶室で好まれた清楚な美は、抽象化された個性的な引手や唐紙(からかみ)の文様を生かしたデザインを生み出しています。江戸時代に入ってからは襖の大衆化が進み、一般庶民の住居にも襖が普及するようになりました。 さらに明治以降は、洋風建築の波が押し寄せ、襖においてもさまざまな和洋折衷が試みられました。現代においても襖はまた、新たなあり方を求められているといえるでしょう。
現代の襖
襖には間仕切りとしての機能だけでなく、保温や防音、そして匂いの吸着などさまざまな機能があります。特に優れているのが、湿度の変化に応じて室内の湿度を調整する調湿機能です。現在の住まいは機密性が高まっていますが、湿度変化が大きい日本だからこそ、襖の機能はもっと見直されてもいいのではないでしょうか。 また、襖は使い方次第で非常に機能的な空間がつくれます。日本古来の意匠や伝統にあらためて注目し、現代の生活にフィットしたインテリアを考えてみてはいかがでしょう。